「友達でいいから、時々会ってほしい。まだ付き合ってないんでしょ? 付き合ったら諦めるから」
電話の向こうの彼に、私はそう言ってしまいました。フラれたばかりなのに、引き止めるでもなく、ただすがる。23歳のあのとき選んだのは、たぶん、いちばんみじめな道でした。
これは、初めての失恋を受け入れられず、別れた彼に4ヶ月すがり続け、最後は心療内科に通うことになった私の後悔の話です。
体験者プロフィール
・性別・年代:女性・体験当時23歳(振り返っているのは40代の今)
・職業:アパレル会社の販売員(当時)
・相手:大学のテニスサークルで出会った同い年の彼・地方公務員
・交際:大学2年から約3年半・お互い初めての恋人同士
・後悔の概要:フラれた後も執着を手放せず復縁にすがり、心身を崩した
出会いから3年半、初めての恋人同士だった
彼と出会ったのは、大学1年のテニスサークルでした。最初はグループでわいわい遊ぶ仲で、少しずつ距離が近づいて、大学2年のときに彼から告白されて付き合い始めました。
お互い、異性と付き合うのは初めて同士。手探りで、でも穏やかな関係でした。彼はおとなしくて優しい人で、私の話をいつもちゃんと聞いてくれる人だったんです。
そのまま3年半。卒業して社会人になっても、当然のように関係は続くものだと、私は思っていました。
社会人になって、すれ違いが始まった
彼は地方公務員、私はアパレルの販売員になりました。彼は土日祝が休みで、私は平日休み。社会人になった途端、休みが合わなくなって、会えるのは月に2回くらいのデートだけになりました。
連絡は2日おきくらい。夜に、仕事の話とか雑談とか、ちょっとしたこと。それでも私は「付き合いも長いし、安定してるな」って前向きに考えていました。今思えば、安定してると思っていたのは私だけだったのかもしれません。
日曜の駅で告げられた「話したいことがある」
ある日曜日、映画館でデートする予定でした。駅の待ち合わせ場所で会った彼が、「ごめん、ちょっとそこのカフェで話したいことがある」と言ったんです。
顔が曇っていて、なんとなく嫌な予感がしました。そして、その予感は当たりました。
「会社に同期の女性がいるんだけど、その子のことを好きになってしまったんだ。ごめん」
「え? ごめんってなに? え?」
私は完全に動揺していました。彼が言いにくそうに、小さな声で「別れたい」と言って、うつむいてしまった。心臓がドキドキして、怖くなって、涙がボロボロ出て止まらなくなりました。信じられないことが起きたと思って、何も言えなかった。何て答えたらいいのかも分からなくて、私はそのまま店を出ました。
「友達でいいから」とすがってしまった電話
彼が追いかけてきてくれるんじゃないか、すぐに連絡が来るんじゃないか。そう期待していましたが、何もないまま1週間が過ぎました。
どうしても諦められなくて、私から電話をかけました。まだ好きなこと、別れたくないこと、その同期の子とはどういう状態なのか。彼は「まだ付き合ってはいないけど、好意を持ってくれてる気がする」「こんな状態で○○と付き合ってるのは罪悪感があるから、別れたい」と言いました。
2時間くらい話して、それでも私は諦めきれなくて、最後にこう言ってしまったんです。
「友達でいいから時々会ってほしい。まだ付き合ってないんでしょ? 付き合ったら諦めるから」
彼は渋々OKしてくれました。本当は、付き合ったって諦める気なんてなかったのに。
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「みじめなことしないほうがいい」友人の言葉
同じテニスサークルで彼のことも知っている仲のいい友達に相談したとき、はっきり言われました。
「そんなみじめなことしないほうがいい。まだこれから出会いはたくさんあるよ」
正しいって、頭では分かっていました。でも私は、諦めることができませんでした。
復縁できるかもと期待した4ヶ月
付き合っていた頃と同じように、週に3回くらい仕事や雑談のメールを送って、週に1度はこちらから電話をかけました。彼は穏やかな人だから、付き合っていた当時と同じように優しく聞いてくれる。
そのうち、私の気持ちは少しずつ前向きになっていきました。もしかしたら、復縁できるかもしれない。そんなふうに思っていたんです。今思えば、私が勝手に都合よく解釈していただけでした。
二度目の別れと、頭を殴られたような衝撃
その状態が4ヶ月くらい続いたあと、いちばん辛い瞬間が来ました。
いつものように日曜の夜に電話をかけたら、彼の声がすごく暗かった。また嫌な予感がしました。
「少し前から同期の子と付き合い始めたから、もう連絡はできない。ごめん」
頭をハンマーで殴られたみたいな衝撃が、全身を襲ってきました。涙が止まらなくて、手が震えて、その日の夜は一睡もできなくて、翌朝は仕事を休んでしまいました。
体重が5キロ減り、心療内科に通った半年
自分で「彼女と付き合ったら諦める」と言ったのに、裏切られたような気持ちでいっぱいになって、しばらく彼を憎みました。さすがにもう連絡を取る気にはなれなかったけれど、寂しかった。好きという気持ちが、消えてくれない。
1ヶ月で体重が5キロ減りました。どうしてあのとき、きっぱり諦めなかったんだろう。あのとき別れていれば、ここまで苦しまずに済んだのに。そう何度も後悔しました。でも、時間は戻らない。
ご飯が食べられなくて、眠れない日が続いて、見かねた親が私を心療内科へ連れて行ってくれました。睡眠導入剤や精神安定剤を飲む生活が、半年くらい続きました。
少しずつ癒えて、1年後に出会えた人
絶対にこの傷は癒えないと思っていました。それでも、苦しくても毎日会社へ行って、仕事をして、友人に話を聞いてもらって、週末はとにかく予定を入れて動き回りました。そうしているうちに、少しずつ、辛い気持ちが薄れていったんです。
初めての失恋を、どう乗り越えたらいいのか分からなくて、本当にもがき苦しみました。でも、元カレと連絡を絶って1年が過ぎた頃、友人の紹介である男性と出会いました。
その人のことが、だんだん気になるようになって。まだ元カレを思うと胸の奥がチクッとすることはあったけれど、その人と話していると、ときめきを感じる。どんどん好きになって、新しい人と付き合った頃には、もう元カレを思い出すことはなくなっていました。
今になって思う、すがらなければよかったということ
今振り返って思うのは、フラれたときはもう相手に気持ちがないということなので、すがりつく行為はすべきじゃなかった、ということです。相手にとって自分はもう魅力的に映っていない。それなら、やっぱり距離を置くべきでした。
復縁を目指すこと自体は、良いとも悪いとも言えません。でも、これだけは言えます。フラれたときに無理にすがりついても、自分がみじめになって、さらに辛い思いをするだけだと。
それから、どんなに「この人しかいない」と思っても、別れて距離を置いて、別の出会いがあれば、あっという間に忘れることもあるんだということ。私は元カレに執着して、復縁に失敗して、絶望しました。でもそのあと、元カレより好きだと思える人に出会えました。今は結婚して、子どもも生まれて、とても幸せです。
あのとき泣いていた23歳の自分に、それだけは伝えてあげたいなと思います。
編集部より
フラれたあとに「友達でいいから」とすがってしまうのは、関係を切りたくない一心からですが、別れを告げられた時点で相手の気持ちはもう動いていることが多いものです。やっかいなのは、優しい相手ほど以前と同じように接してくれるため、こちらが“復縁できるかも”と都合よく解釈しやすい点。期待が長引くほど、二度目の別れのダメージは大きくなりがちです。眠れない・食べられない・体重が落ちるといった反応は弱さではなく強いストレスへの体の反応で、長く続くなら専門家に頼ることは、決して大げさな選択ではないのかもしれません。
困った時の選択肢
【手放したいのに手放せなくて苦しい、という方へ】
もう気持ちがないと頭では分かっていても、すぐには諦められない——その揺れを、利害のない相手に話すだけで少し整理がつくことがあります。cotree は、つらい気持ちや失恋からの立て直しを、専門のカウンセラーにオンラインで相談できるサービスです(つらさが長く続いて生活に支障が出るときは、医療機関への相談も無理のない選択です)。
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そのほか、状況に合わせて選べる窓口もまとめておきます。
・まず自分の気持ちの整理・自己理解から始めたい
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公的な窓口としては、気持ちの行き場に困ったとき、よりそいホットラインが無料で相談に乗ってくれます。
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そして、眠れない夜や泣いて疲れた日には、自分をいたわる時間を少しだけ作ってみるのもいいかもしれません。目元をじんわり温めるホットアイマスクのような、一日の終わりにほっと一息つけるものを手元に置いておく、という方法もあります。

