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FXで家族の300万円を溶かした28歳の後悔|5年かけて返した借金と取り戻した日常

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母と兄が振り込んでくれた、300万円。そのうちの半分を、私はまた相場で溶かしました。早期リタイアという夢に取り憑かれて、一番大切なはずの家族の信頼まで失いかけた。これは、そんな私の話です。

📌 体験者プロフィール

年代・性別:30代男性(体験当時28歳)

関連カテゴリ:お金・買い物(FX投資の失敗・借金)

体験形態:実体験ベース

体験時期:2010年代後半〜2020年代前半

当時の状況:地方の中堅メーカー勤務・営業職・一人暮らし

※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。

「早期リタイア」だけを夢見ていた、28歳の私

あれは28歳の時でした。当時の私は、地方の中堅メーカーで営業職として働いていて、社会人としては一応、安定した生活を送っていました。ただ、心のなかにはいつも漠然とした不安があって、それを打ち消すように「若いうちに大きな資産を築いて、一刻も早く会社員生活やノルマから解放されたい」という焦りに近い思いを抱えていました。

SNSやネットで見かける「若手投資家の成功体験」に自分を重ねては、今の自分とのギャップに勝手に苛立っていたんだと思います。

実家では、両親と、地元の企業で実直に働く兄が暮らしていました。たまに電話で近況を話すと、母はいつも「体だけは大切にね」と私を気遣ってくれていました。どこにでもある、平穏で温かい家族でした。その関係が、自分の無謀な行動で壊れることになるなんて、あの頃の私は微塵も想像していませんでした。

友人との酒の席で芽生えた、「自分にもできる」という気持ち

きっかけは、久しぶりに学生時代の友人2人と酒を飲んだ夜でした。近況を報告し合ううちに、彼らがどちらも株やFXに熱心だと知ったんです。私の知らない専門用語を並べて解説する姿が羨ましくて、同時に「これなら自分にもできるんじゃないか、稼げるんじゃないか」という気持ちが芽生えました。

それから数日後には、もう証券会社の口座を開設していました。独学で本を読み、仕事の合間の休憩や、帰宅後の深夜まで、憑かれたようにチャートに没頭する毎日。最初は数万円の利益に一喜一憂する程度でしたが、ビギナーズラックで数十万円を手にしたことで、「自分には才能がある、これで人生を逆転できる」と思い込んでしまった。今思えば、これが入り口でした。

初めての大損で、頭が真っ白になった

ある時、相場の急変で、初めて大きな損失を出しました。その瞬間、頭の中が真っ白になったのを覚えています。それまでの利益が全部吹き飛ぶどころか、生活費にまで食い込んでいました。

普通なら、そこで立ち止まるべきだったんです。でも私の中に生まれたのは、「ここで引いたら負けが確定する。レバレッジを上げて、一気に取り返さなきゃ」という、もう執着としか言いようのない感情でした。冷静さなんて、とっくにどこかへ行っていました。

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消費者金融を渡り歩き、ついに家族に頭を下げた

消費者金融からの借り入れは、最初は「一時的な補填」のつもりでした。でも、気づけば1社が2社、2社が3社と膨らんで、ついに限度額という壁に突き当たりました。追証に追われ、精神的にも限界で、私はとうとう、越えてはいけない一線を越えてしまいます。

母と兄に電話をかけて、本当のことを打ち明けたんです。「投資に失敗して、借金が膨らんでしまった。どうしてもお金が足りない、助けてほしい」と。情けない声を振り絞って、頼み込みました。自業自得なのは分かっていました。怒鳴られて縁を切られても仕方のない状況です。

受話器の向こうで、母は絶句して、ひどく狼狽していました。真面目に働いていると思っていた息子からの、あまりに身勝手な告白です。どれほどのショックだったか、想像もつきません。それでも、長い沈黙のあとで、母と兄は「今回だけだよ」と、私を突き放さずにいてくれました。

母が長年、将来のためにと貯めてきた老後の蓄え。兄が自分の生活を切り詰めて貯めていたお金。それを合わせた300万円が、私の口座に振り込まれました。本来なら、家族の幸せのために使われるはずのお金でした。

家族の300万円の、その半分をまた溶かした

ところが私は、その大切なお金の半分を、またFXで溶かしてしまったんです。

全額を返済に充てるべきだった。それは分かっていたはずなのに、私は都合よくこう考えました。「半分を返済に回して、残りの半分で勝負をする。勝てれば消費者金融も、母と兄への借金も両方片付く。それどころか、もっと利益も出せる」と。情けない話ですが、これが当時の、投資で感覚が麻痺した私の頭の中でした。

そんな甘い気持ちで勝てるほど、相場は優しくありません。数週間もしないうちに、150万円はあっという間に消えました。証拠金の数字がほぼゼロになった瞬間、その「数字」が「家族の人生」そのものだったことに、ようやく気づきました。全身の力が抜けていく感覚だけを、今でも覚えています。謝る勇気も、もう全部投げ出してしまいたいと思う気力さえ残っていなくて、ただ絶望だけが部屋に満ちていました。

誇りを削りながら働いた、5年間

そこからの約5年間は、終わりの見えない贖罪の日々でした。

平日は会社員として普通に働き、何食わぬ顔で目標数字を追いかける。でも、定時を過ぎても家には帰りません。どこかで時間をつぶして、21時頃からは清掃やコンビニでバイトをする。そんな生活がずっと続きました。土曜には、巨大な物流倉庫で深夜から朝方まで重労働をすることも珍しくありませんでした。

冬の倉庫は、まるで巨大な冷蔵庫の中にいるような寒さです。軍手越しでも伝わってくる冷たい段ボールの感触、凍えて感覚のなくなった指先、それから絶え間ない腰の痛み。重い荷物を運び続ける単調な作業のなかで、私はずっと自分を責めていました。「あのお金があれば、母はもっと穏やかな老後を迎えられたはずだ」「兄が自分のために使えたはずの時間を、自分は奪ってしまったんだ」と。

本当の豊かさは、画面の数字の中にはなかった

あの日々を経て、私は今、ようやく平穏な毎日を取り戻しています。

この経験で学んだことを、うまく言葉にできているか分かりません。でも、たぶん私にとっての豊かさは、画面に並ぶ数字の中ではなく、身近な人との信頼の中にしかなかった、ということなんだと思います。当時は「お金さえあれば自由になれる」「勝てば家族を幸せにできる」と本気で信じていました。でも、それはただの独りよがりでした。自分の夢を叶える手段として家族の人生を使って、一番大切な絆を、危うく壊すところだったんですから。

正直、自分が完全に立ち直れたのかは、今も分かりません。ただ、あの300万円の重さだけは、一生忘れないと思います。

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編集部より

投資や投機の失敗が深刻化するとき、引き金になりやすいのが「損を取り返そうとして、かえって傷を広げてしまう」心理だと言われます。今回のケースでも、最初の大きな損失の直後にレバレッジを上げ、消費者金融からの借り入れへ、そして家族を巻き込む借金へと、損失を取り返そうとする行動が次の損失を呼ぶ流れが起きています。一人の意志の弱さというより、追い詰められた状況では誰にでも起こりうる心理として知っておくだけでも、ブレーキの掛けどころは変わってきます。

困った時の選択肢

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・家族に迷惑をかけた罪悪感を、誰かに聞いてほしい
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そして、画面の数字に振り回された日々から抜け出す一歩として、毎月のお金の出入りを書き出せる家計簿を一冊つけてみると、自分のお金との距離を取り戻しやすくなります。

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