PR

営業の見栄で85万円の腕時計を分割で買った28歳の後悔|2年後の売却損33万円と削った生活

お金・買い物の後悔体験談アイキャッチ|人生の後悔リアル図鑑 お金・買い物の後悔
この記事は約10分で読めます。

28歳の私は、年収420万円の身で、85万円の腕時計をローンで買った。

2年後、それを52万円で手放した。

差額33万円。メンテ費と金利を入れれば、実質40万円以上の損失だ。これは、営業の見栄に振り回されて、貯金も生活も削っていった30代男性の話。

📌 体験者プロフィール

年代・性別:30代男性

関連カテゴリ:お金・買い物の後悔

体験形態:実体験ベース

体験当時の年代:20代後半(28歳)

当時の状況:都内勤務の法人営業職・年収約420万円(手取り月28万円ほど)・独身一人暮らし・貯金約150万円

※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。

取引先で感じた、自分のスーツと腕時計への引け目

法人営業を担当していた当時、商談で会うのは中小企業の経営者や役員クラスの人ばかりだった。相手の身なり、持ち物、歩き方の余裕。座った瞬間にこちらが押されるような空気がある。

自分の安いスーツとシンプルな腕時計が、急に貧相に見えてくる。

会社の中でも、成果を出している上司ほど高い時計や靴を身につけていた。たぶん、半分は本人の趣味で、半分は仕事道具のつもりなんだろう。当時の自分は、それを完全に「仕事道具」の側で見ていた。

「時計一つでなめられたくない」

「自分にも価値があると思われたい」

口に出してはいないけど、心の中ではこの2つがぐるぐる回っていた。今思うと、何をそんなに焦っていたんだろう、と思う。

先輩の腕時計と、販売員に背中を押された日

きっかけは会社の先輩の腕時計だった。営業先で話題になることが多くて、商談の空気が和むこともあった。それを見るたびに、自分もああいうふうに見られたい、と思うようになっていた。

最初に検討していたのは、10万円前後のもの。それでも当時の自分には大きい買い物だった。

問題は店舗に行ってからだ。販売員の話を聞いているうちに、頭がだんだん別の方向に向いていく。

「資産価値が落ちにくい」

「長く使える」

この2つの言葉で、自分の中の「高くない投資」スイッチが入った。

最終的に選んだのは、約85万円の腕時計だった。

10万円から85万円。今書いていても、よくジャンプしたな、と思う。当時は「仕事のモチベーションが上がるなら、決して高くない投資だ」と何度も自分に言い聞かせていた。

支払いは一括ではなく、頭金20万円、残り約65万円を24回の分割ローン。月々の返済は約2万7000円。後から知ったことだけど、年に一度のメンテナンスにも約2万円かかる。

買った直後の気分はよかった。毎日、腕時計を見るだけで気分が上がった。

ただ、その満足はびっくりするくらい短かった。

月2万7000円の返済が、静かに生活を削っていった

購入から3か月。月の2万7000円が、思った以上に重くのしかかってくる。

それまで月に4万円ほどあった食費を、3万円以内に抑えるようにした。外食はほぼやめた。昼食は毎日500円以内と決めて、安い弁当を探して昼休みに急いで買いに行く。10分くらいの昼休みの動きが、地味に疲れる。

友人との飲み会は、月1回くらいから2か月に1回まで減らした。趣味だったライブや旅行も、年に3回ほど諦めた。

数字で書くとたった2万7000円。文字にすると小さい金額に見える。でも、毎月決まった日に確実に出ていくお金は、想像以上に効いた。日々の小さな楽しみを少しずつ削っている実感が積み重なって、気持ちにも余裕がなくなっていった。

「俺、何のためにこの時計買ったんだっけ」

夜、コンビニの安い弁当を食べながら、何度か思った。

関連記事:大人買いで満足するはずが、止まらなかったトレカ収集の後悔|30代男性の100万円超体験

維持費と、腕に当たる傷が怖くなる毎日

お金の話だけじゃなくて、生活の動き方まで変わっていった。

維持費の存在を知ったのは、買って少し経ってからだった。年に1回のメンテナンスが2万円。それ自体は妥当な金額かもしれない。ただ、毎月の返済が苦しい状態でそこに2万円が乗ってくると、ため息が出る。

それ以上にきつかったのが、傷が怖くなったことだ。

満員電車で立つときは、自然と腕をかばうような姿勢になる。無意識に肩に力が入って、肩こりがどんどんひどくなっていった。肩こりがどう関係あるの、と思うかもしれないけど、本当にひどかった。

一度、会社の机の角に軽くぶつけてしまったことがあって、傷はそれほど大きくなかったのに、強くショックを受けた。家に帰っても気になって、しばらく時計から目を離せなかった。

数年に一度はもっと高額な分解掃除が必要らしい、と聞いたときには、まだお金がかかるのか、と気持ちが沈んだ。買い物のはずなのに、ずっと「持ち主のコスト」を心配している自分がいた。

時計で営業成績も評価も変わらなかった

買って1年が過ぎたころには、もう毎日の楽しみではなくなっていた。腕にあるのは嬉しさじゃなくて、負担の象徴のような何かだった。

そして肝心の仕事。営業成績が劇的に上がった、ということもなかった。時計のおかげで取引先の態度が明らかに変わった、ということもなかった。たぶん、相手は最初からそんなに気にしていなかったんだと思う。

なめられたくない、と思っていた自分のほうが、ずっと時計を気にしていた。

評価のために買ったはずなのに、評価は変わらず、毎月の返済だけが残った。気付くのに1年かかった。

2年後、52万円で手放した日

購入から約2年後、その腕時計を売却した。

買ったとき85万円。査定額は約52万円だった。差額33万円。

これに、これまでのメンテナンス費用と金利を足すと、実質的な損失は40万円を超えた。

手放すときの気持ちは、なんと言えばいいんだろう。あれほど欲しかったものを、こんな形で送り出すことになるとは、買った日にはまったく想像していなかった。

達成感もなかったし、清々しい解放感もなかった。ただ、虚しかった。

関連記事:『今しか乗れない』と2台目スポーツカーを買った25歳の後悔|30代男性が貯金を失った話

もし、この85万円を別のことに使っていたら

たまに、当時の85万円を別のことに回していたら、と想像することがある。

資格取得のためのスクールに通うこともできた。営業に活きる勉強だったはずだ。

海外旅行にも複数回行けた金額だった。28歳の頃に見ておきたかった景色は、たぶん今見るのとは違って見えたと思う。

そのまま貯金や投資に回していれば、少なくとも今、手元に資産として残っていた可能性が高い。

腕時計は売却損で消えた。形は残らなかった。

「目の前の自尊心を買ったつもりが、未来の自分の選択肢を売っていた」

そんなふうに思う日がある。

28歳の自分に伝えたい、身の丈という言葉

振り返って、何がいちばんの原因だったかと聞かれたら、収入に見合わない買い物をしたこと、と答える。

それと、周りと比べて見栄を張りたかった気持ち。販売員の言葉をそのまま信じてしまった判断の甘さ。

正解だったのかは今でも分からない、とまでは言わない。これは、はっきり失敗だった。

ただ、この失敗がなければ、今の自分はもっと無防備な買い方をしていたかもしれない、とも思う。だから、損だけだったとも言い切れないところがある。

今は、何かを買う前に必ず数日考えるようになった。月々の支出に乗せて大丈夫か、メンテや維持費がいくらか、売るときにいくらで売れそうか。そういうことを、買う前にちゃんと数字で見るようになった。

身の丈、という言葉は嫌いだった。20代の頃は、それは諦めの言葉だと思っていたから。

今は、自分を守るための言葉だと思っている。

編集部より

分割払いは月々の金額が小さく見えるぶん購入のハードルが下がりやすい一方で、いったん固定費として家計に組み込まれると、食費や趣味といった日々の支出を静かに圧迫していきます。高額品ほどメンテナンス費や、傷つけないよう気を張る心理的なコストも乗ってくるため、買う前に「買える」と「維持できる」を分けて考える視点が欠かせません。売却額は購入価格を下回ることがほとんどで、金利や維持費まで含めた実質コストで見ておくことが、同じ後悔を避ける現実的な目安になります。

困った時の選択肢

【「買える」と「続けられる」を分けて考えたい方へ】
高い買い物そのものより、それを抱えたまま家計を回せるかが問題になります。趣味や固定費も含めたお金の使い方を、ファイナンシャルプランナーに無料で相談できる窓口です(お勤めの方向け)。
おかねと暮らしの相談窓口(無料FP相談)

そのほか、状況に合わせて選べる窓口もまとめておきます。

・見栄や「なめられたくない」焦りの正体を見つめ直したい
 → 心のAIパートナー【Awarefy】(自己理解・セルフケアアプリ)

・お金や見栄の悩みを、誰かに話して整理したい
 → オンラインカウンセリング cotree

公的な窓口としては、暮らしやお金の不安を無料で相談できる「よりそいホットライン」(0120-279-338)もあります。

お金との付き合い方や、後悔しない買い物の考え方をめぐる本は、たくさんあります。気になった一冊を、まず無料で試す方法もあります。
・読んでみる
 → Kindle Unlimited(30日間無料体験)
・聴いてみる
 → Audible(30日間無料体験)

「買う前に、月々の支出や維持費まで数字で見るようになった」——そんな習慣づくりを助けてくれるのが家計管理ノートです。支出を書き出して”見える化”したい人に選ばれています。

タイトルとURLをコピーしました