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愛犬の心臓病で手術を先延ばしにした後悔|僧帽弁閉鎖不全症と看取った40代男性の話

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酸素室のアクリル越しに、苦しそうに息をしながら、それでも不安そうに私の方を見つめてきたチョコの目。あの夜の目を、私は一生忘れられないと思います。

もっと早く決めてあげていれば。今でも、そう悔やんでいます。

これは、心臓の病気を患った愛犬の手術を、お金と恐怖から先延ばしにしてしまった、私の後悔の話です。

📌 体験者プロフィール

年代・性別:40代・男性

関連カテゴリ:ペットの後悔(愛犬の闘病・看取り・ペットロス)

体験形態:実体験ベース

愛犬:チワワとミニチュアダックスフンドのミックス(チワックス)の男の子・15年連れ添う

病名:僧帽弁閉鎖不全症(のちに肺水腫を併発)

※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。

帰ってくると、ちぎれそうに尻尾を振って飛びついてきた

うちの子は、チワワとミニチュアダックスフンドのミックスで、いわゆるチワックスと呼ばれる犬種の男の子でした。名前はチョコといいます。

見た目はダックス譲りの少し胴長な体型で、耳だけはチワワみたいに大きくて、本当に愛嬌のある顔をしていました。

性格はとにかく甘えん坊で。私が仕事から帰ってくると、ちぎれんばかりに尻尾を振って、クゥクゥと高い声で鳴きながら足元に飛びついてくる。そういう、本当にかわいい奴でした。

ペットショップのケージの隅で、ひとりぼっちで丸くなっていた

チョコを我が家に迎えたきっかけは、たまたま通りかかったペットショップでした。

当時はまだ小さくて、ケージの隅っこで一頭だけ、ぽつんと丸くなっていたんです。目が合った瞬間、なんだかこの子を放っておけないというか、運命みたいなものを感じてしまって。気づいたら、家族として迎える手続きをしていました。

それから15年。チョコは私の人生の相棒として、ずっと一緒に過ごしてきました。

「もう歳だから」で済ませてしまった、11歳の異変

異変に気づいたのは、チョコが11歳の頃でした。

それまで病気ひとつせず元気に走り回っていたのに、散歩の途中で急に立ち止まって、ハァハァと激しく息を切らすようになったんです。家の中でも、なんとなく元気がなくて、寝てばかりいる時間が増えました。

「もうおじいちゃんだから、体力が落ちてきたのかな」。その時の私は、そんなふうに軽く考えてしまっていました。

でも、夜中に「カッカッ」と、何かが喉に詰まったような乾いた咳をするようになって。さすがにおかしいと思って、近くの動物病院に連れて行きました。

「この病気は、基本的には治りません」と告げられた日

病院でレントゲンやエコーの検査をした結果、獣医さんから告げられた病名は「僧帽弁閉鎖不全症」というものでした。心臓の弁がうまく閉まらなくなって、血液が逆流してしまう病気だそうです。

「この病気は、基本的には治りません。お薬で進行を遅らせる治療になります」

先生にそう言われた時の私の心境は、本当に頭を殴られたような衝撃でした。まさか自分の愛犬が、そんな重い心臓の病気になるなんて、夢にも思っていなかったからです。

薬が効いている間の「このままいけるかも」という甘い期待

そこから、毎日朝と晩に薬を飲ませる生活が始まりました。

チョコは薬を嫌がりましたが、大好きなササミに挟んだりして、なんとか飲ませていました。薬が効いている間は咳も落ち着いて、また元気に過ごせる日々が戻ってきたように見えました。

私はどこかで、「このまま薬を飲み続けていれば、寿命を全うできるんじゃないか」と、甘い期待を抱いてしまっていたんです。

これが、のちの大きな後悔につながるとは、その時は思ってもみませんでした。

舌が紫色になって、夜間救急に車を走らせた夜

チョコが13歳になったある日の夜、突然事態が急変しました。

これまで聞いたこともないような激しい咳をし始めて、呼吸が明らかに異常だったんです。お腹を大きく膨らませて、ゼーゼーと苦しそうに息をして、舌の色が紫色っぽくなっていました。

素人目に見ても、今すぐどうにかしないと死んでしまう。そう分かる状態でした。

私はパニックになりながら、夜間救急の動物病院へ車を走らせました。

酸素室の中から、私を見つめていたチョコの目

病院に着くとすぐに処置室へ運ばれて、告げられた診断は「肺水腫」でした。

心臓の機能が低下して肺に水が溜まり、溺れているのと同じ状態で息ができないのだと言われました。「今、非常に危険な状態です。すぐに酸素室に入れます」と。

透明なケースのような酸素室の中で、ハァハァと苦しそうにしながらも、不安そうに私の方を見つめてくるチョコ。その目を見て、私は涙が止まりませんでした。

「ごめんね、もっと早く気づいてあげられなくてごめんね」。心の中で、何度も何度も謝り続けました。何日も苦しい思いをさせていたんじゃないか。自分の観察不足が情けなくて、ただ自分を責め立てました。

200万円という手術費用を前にして

なんとか一命は取り留めましたが、獣医さんからは厳しい現実を突きつけられました。

「薬での治療は、もう限界に近いです。この病気を根本的に完治させるには、手術しかありません」

ただ、その手術ができる病院は日本国内でもごく限られていて、費用は200万円近くかかると言われました。普通の会社員である私にとって、決して簡単に用意できる金額ではありません。一瞬、頭の中でお金のことがぐるぐると回りました。時間的な余裕もありません。

だけど、酸素室で苦しんでいたチョコの姿が、頭に焼き付いて離れなかった。ここで諦めたら、私は一生後悔する。この子の命はお金には代えられない。そう思って、貯金を切り崩し、足りない分は借り入れもして、手術を受けさせる決意をしました。

関連記事:失業中で動物病院に連れていけなかった後悔|30代で看取った愛猫クロちゃんとの別れの話

「手術は無事に終わりましたよ」の一言に、腰が抜けた

手術ができる名医がいるという、都市部の専門病院を紹介してもらい、すぐにチョコを連れて行きました。

13歳という高齢での大手術です。麻酔のリスクも高いと言われ、手術室に向かうチョコを見送る時は、これが最後のお別れになるかもしれないと、生きた心地がしませんでした。

手術は何時間もかかりましたが、結果としては成功でした。先生から「手術は無事に終わりましたよ」と言われた時は、本当に腰が抜けるほど安心して。これでまた、チョコと長い時間を一緒に過ごせる。そう信じて疑いませんでした。

心臓は良くなったのに、今度は肝臓の数値が

でも、やっぱり13歳のシニア犬にとって、心臓を開くような大手術は、体への負担が大きすぎたんだと思います。

手術のあと、心臓の調子は良くなったものの、定期的な血液検査で、今度は肝臓の数値が急激に悪化していることが分かりました。手術や、その後の大量の投薬が、内臓に強い負担をかけてしまっていたんです。

「クゥ」と鳴いて手を舐めてくれた、最後の2年間

それからの2年間は、肝臓の治療とケアの日々でした。

チョコはだんだんと痩せていって、昔みたいに元気に吠えることもなくなりました。それでも、私が帰宅すると、ゆっくりと頭を上げて、小さな声で「クゥ」と鳴いて、私の手を舐めてくれるんです。

その健気な姿を見るたびに、胸が締め付けられる思いでした。

15歳の年、腕の中で眠るように

そして15歳になった年、チョコは静かに息を引き取りました。

最後は、私の腕の中で、眠るように旅立っていきました。

誰も出迎えてくれない家で

チョコが亡くなってから、私の生活は一変しました。

家に帰っても、誰も出迎えてくれない。あの温かい温もりがない。その現実がどうしても受け入れられなくて、私は完全にペットロスになりました。

家の中に残ったチョコのベッドや、お気に入りだったおもちゃを見るだけで涙が溢れてきて。しばらくは、片付けることもできませんでした。正直に言えば、今もまだ、あの子のことを引きずっています。

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もっと早く、決断してあげればよかった

今振り返って思うのは、もっと早く——11歳で病気が分かった段階で、手術という選択肢を真剣に検討していればよかったんじゃないか、ということです。

肺水腫であの苦しい思いをさせる前に、もっと体力が若いうちに手術を受けさせてあげられていたら。内臓への負担も少なくて、もっと長生きできたかもしれない。お金の心配や、手術への恐怖から決断を先延ばしにしてしまった自分の弱さが、今でも悔やまれてなりません。

正解だったのかは、正直、今でも分かりません。あのまま薬で穏やかに過ごさせる選択もあったのかもしれない。それでも、後手後手に回ってしまったことだけは、ずっと心に引っかかっています。

もし今、同じように愛犬の心臓の病気で悩んでいる人がいるなら、どうか後手に回らないでほしい。医療費のこと、年齢のこと、悩む理由はたくさんあると思います。でも、犬の時間の進み方は本当に早いです。獣医さんの話をよく聞いて、後悔のない選択をしてあげてください。

チョコが教えてくれた命の重みと、決断することの大切さを、私は一生忘れません。

チョコ、うちの子になってくれて、ありがとう。そして、もっと早く助けてあげられなくて、本当にごめんね。

編集部より

僧帽弁閉鎖不全症は、シニア期の小型犬に多くみられる心臓の病気です。投薬で進行を抑えながら付き合うケースが多い一方、「どの段階で外科治療に踏み切るか」を飼い主さんが一人で背負う場面は少なくありません。やっかいなのは、薬が効いて落ち着いている時期ほど“このままいけるかも”と判断を先送りしやすく、いざ手術となったときには年齢が上がって体への負担が増している、という時間の罠があることです。費用も麻酔のリスクも簡単に答えの出るものではありませんが、迷いの段階こそ、早めにかかりつけの獣医師と治療の選択肢を共有しておくことが、見送ったあとの後悔を少しでも軽くするのかもしれません。

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