生後二か月の子をあやしていた夜中に、夫が大きな荷物を抱えて帰ってきました。
中身は、マイボール。ボウリングの球でした。
「みんな持ってるから買っちゃった」と、夫は嬉しそうに笑っていて。私の貯金を崩して暮らしていた、あの頃の話です。
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:30代女性(体験当時20代)
・関連カテゴリ:結婚・離婚(授かり婚・離婚)
・体験形態:実体験ベース
・婚姻年数:約2年/離婚済み
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
ミクシィのオフ会で、夫と出会った
当時の私は二十歳。実家で暮らしながら、近所のコンビニで働いていました。
夫と出会ったのは、当時流行っていたミクシィというサイトです。ご近所コミュニティのオフ会に参加して、そこで知り合いました。
集まったのは二十人以上。車好きが集まる会だったので、見るからにヤンキー系の人が多くて。そんな中で夫は、いわゆる普通の人でした。それがちょっと、安心できたんだと思います。
ああいうオフ会では、何組かカップルができることも多いんですよね。私たちも、そのうちの一組でした。付き合い始めたのは、私が十九歳のときです。
妊娠がわかって、流れで籍を入れた
付き合って数か月で、私の妊娠がわかりました。夫が責任を取るという形で、すぐに籍を入れることになって。
正直、結婚というものを、そんなに深く考えていませんでした。
親からは「若いんだから、おろすことも考えたほうがいい」と説得されました。でも、いわゆる妊娠ハイになっていた私は、まったく聞く耳を持たなかったんです。
あの時、親の言うことをちゃんと聞いていればよかった。今は、そう思っています。
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妊娠中も、夫は夜遊びをやめなかった
妊娠してからは、私は家にいることが多くなりました。バイトと家の往復だけの毎日です。
夫は昼間は働いて、夜はオフ会の友達と遊ぶ。そういう日が多かった。
「これからお金もかかるんだから、遊びに行くのは少し控えてほしい」。そうお願いしても、夫は「子供が生まれたら遊ぶ暇がなくなるんだから、それくらい許してほしい」と言うばかりで。
聞いてはくれませんでした。私の中で、不安がざわざわと広がっていったのを覚えています。
通帳の残高は、数百円だった
夫は結婚前から「貯金はあるから、子供を産んだら仕事は辞めてほしい」と言っていました。だから私は、妊娠後期に入る前に、働いていた職場を辞めたんです。
でも、なんだかお金のことが不安で。妊娠がわかったときに一度、「通帳を見せてほしい」と頼んだことがありました。夫は、見せてくれませんでした。
子供も生まれて、さすがに家計をきちんと管理したくて。私はとうとう、夫の通帳を無理やり見たんです。
残高は、数百円でした。
この人は、ずっと私に嘘をついていた。なんで嘘をついていたのか問い詰めたら、夫は口をとがらせながら、こう言いました。「生まれるまでに貯めればいいと思った」。
子供みたいにいじけながら言う夫を見て、私はただ、あきれてしまいました。
「次の子の名前はつけていい」と、夫は言った
子供の名前のことでも、実は少しもめていました。
私は自分が産んだ子だから、自分で名前をつけたかった。でも夫は、読み仮名は自分がつける、漢字はあなたがつけて、と譲らなかったんです。
そのとき夫が、こう言いました。「次に産んだときは、名前つけていいから」。
まるでペットの名づけみたいに、簡単に。
十か月、お腹の中で育てた子供を、この人はこんな風に言うんだな。そう思ったら、すごく不愉快でした。
月給十五万で、夫は「仕事を頑張る」しか言わなかった
お金がないとわかってから、これからどうするのか、二人で話し合いました。
夫の答えは「仕事を頑張る」。それだけでした。
でも、夫の月給は十五万円ほど。家族で暮らしていくには、どう考えても厳しい額です。車がないと生活できない土地なので、その分のお金もかかります。
家は私の実家に置いてもらっていたので、なんとかなってはいました。それでも、将来を考えたら、お金は足りていなかった。
なのに夫は、私の実家に頼りきったまま、夜は相変わらず友達と遊びに行くのをやめませんでした。
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生後二か月の夜、夫はマイボールを買って帰ってきた
私がどうしても許せなかったのは、子供がまだ生後二か月の頃のことです。
その夜も遊びに出ていた夫が、夜中にドスンと何かを抱えて帰ってきました。
「なにこれ」と聞いた私に、夫は嬉しそうに言いました。「マイボール。最近ボウリングにハマっちゃってさ〜、みんな持ってるから買っちゃった☆」。
私は、キレてしまいました。
子供もまだ小さくて、お金だって私の貯金を崩しながら生活しているのに。私名義の車も勝手に乗り回して、知らないうちにぶつけて帰ってくるような人だったんです。
そのとき夫に何て言ったのかは、細かくは覚えていません。ただ、ものすごく怒ったことだけは、覚えています。
あのボウリングの球は、確か、捨てました。
職場に戻った日、上司に言われたひと言
その後、私の親にも協力してもらって、なんとか前の職場に戻らせてもらえることになりました。
戻った日、その上司から笑いながら「子供が子供産んで」と言われたことを、私は今でも根に持っています。
その職場は、今はもう潰れてなくなりました。
夫がうつ病だと知っても、心配より怒りが湧いた
私に怒られてから、夫が遊びに行く頻度は減ったように感じました。
でも、夫は日に日に体調を崩していって。病院に行くのを勧めたら、なんと、うつ病でした。
正直に言うと、最初に思ったのは「弱すぎる」でした。
話を聞いたら、実は上司にパワハラされていて、精神的にきつい中で働いていたんだ、と。でも、それも全部、後から打ち明けられたことでした。
なんでこの人は、何もかも後出しで言うんだろう。心配よりも先に、怒りが湧いてきてしまったんです。
家族なのに、大事なことを何も話してくれない。私はもう、夫を信じられなくなっていました。
子供の名前をペットみたいに扱ったこと。お金がないのに散財すること。大事なことを先延ばしにする癖。その全部が、嫌になっていました。
私が働き、夫が家にいる生活になった
それから私は、バイトを掛け持ちで働くようになりました。夫は休職して、自宅で療養する生活です。
子供のことを夫に任せて、私が大黒柱として家計を支えていました。
そのころには、夫との夜の生活も断っていました。もう、生理的に受け付けられなくなっていたんです。
「俺だって我慢してんだろうが」と、夫が壁を殴った
そんなある日、夫に言われました。「全然かまってくれないね。疲れてるなら、口だけでもいいよ」。
なんで私が、そこまでしないといけないのか。私はそう言い返して、また喧嘩になりました。
いつもなら、ただ聞いているだけの夫が、そのとき思い切り壁を殴ったんです。
空気が、張り詰めるのがわかりました。
「俺だって我慢してんだろうが!」。
そう怒鳴られて、私は思いました。あぁ、もう駄目だな、って。
結婚して、二年目のことでした。
離婚するために、私は親権を手放した
私のほうから、離婚を切り出しました。夫は、ごねました。
子供は自分が引き取りたい、と言って聞かないんです。「名前も俺がつけたんだし、親権はこっちじゃないと、絶対に離婚しない」。
私はもう、すっかり疲れ切ってしまっていて。その条件を、飲みました。
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あれから十年、もし子供にもう一度会えるなら
あれから、もう十年以上が経ちました。子供とも、夫とも、連絡は取っていません。
今になって思うのは、もし次に結婚することがあるなら、絶対にお金で苦労しない人がいい、ということです。
あの頃の私は、結婚というものを、何も考えていなかった。妊娠ハイのまま、流されるように籍を入れてしまった。
若かったから、で済ませたくはないけれど。あの選択が正しかったのかどうかは、正直、今でもよくわかりません。
ただ、親があのとき言ってくれた言葉だけは、今もときどき、思い出します。
編集部より
この体験で際立つのは、交際から数か月という短さの中で、相手の金銭感覚や責任の引き受け方が見えないまま籍を入れてしまった点です。
恋人として会う時間と、家計や子育てを一緒に背負う時間とでは、見える顔がまるで違います。貯金の有無、お金の話を避ける癖、困りごとを先延ばしにする癖は、生活を共にして初めて表に出てくることが少なくありません。
授かり婚そのものが悪いわけではありません。ただ、状況に流されて確かめる時間を持てなかったことが、後の苦しさにつながってしまうこともあります。
困った時の選択肢
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