「大人になった今なら、満足するまで買えるはずだ」――そう思って再開したトレーディングカード収集が、まさかこんな結末を迎えるとは想像していませんでした。
気付けば家には1000枚を超えるカードが積み上がり、これまでに使った金額は100万円を軽く超えています。
体験者プロフィール
・30代男性
・関連カテゴリ:お金・買い物の後悔
・体験形態:高額な趣味への過剰投資(トレーディングカード)
・体験時期:20代後半〜現在も継続中
・累計投資額:100万円超・カード1000枚以上
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
小学生時代に夢中になったトレカと、いったん冷めた中学時代
小学生の頃の私は、トレーディングカードに完全にハマっていました。
お小遣いの範囲内で少しずつ買い集めて、同じく集めていた友人たちと放課後に対戦するのが日課でしたね。
ただ、お小遣いという限られた範囲では当然、欲しいカードを全部手に入れることなんてできるわけがありません。友人が持っている強いカード、レアなカードを羨ましく眺めた記憶が、今でもうっすら残っています。
中学に上がると小学校時代の友人とは別の学校に進む人も多く、自然と離れていきました。部活動も始まって毎日が忙しくなって、いつの間にかトレカへの熱は冷めていって、ほとんど興味も失っていたんです。
YouTubeで再燃した、10年越しの懐かしさ
それから10年以上が経った20代後半のある時期。日課になっていたYouTubeをぼんやり眺めていたら、おすすめ欄に当時のトレカに関する動画が流れてきました。
投稿者がカードを並べたり、当時の対戦環境を懐かしそうに語ったりしている、そんな動画です。
「あ、そういえばあったな」と込み上げてくる懐かしさ。その日から、つい関連動画を漁るようになってしまいました。
最初は本当に、懐かしいなあという程度の気持ちだったんです。それがだんだん「もう一度、自分でも手に取ってみたい」という欲求に変わっていくのに、そんなに時間はかからなかったように思います。
「これで満足できるはず」と思って再開した購入
気付けば私は、カードショップに通うようになっていました。社会人として働いていたので、小学生時代とは比べ物にならないくらい経済的な余裕があります。
「昔欲しかったのに買えなかったカード、持っていなかったカードを揃えれば、それで満足できるはずだ」――そう信じて疑いませんでした。
最初に立てた予算は、せいぜい10万円くらい。それで十分だろうと考えていたんです。
実際、最初のうちは目当てのカードを次々と手に入れて、確かに満たされていく感覚はありました。あの頃の自分が欲しがっていたものを、大人になった自分の手で買い揃えていく。なんとも言えない達成感があったのを覚えています。
ただ、ここから話がおかしくなっていきました。
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状態にこだわり始めた瞬間、出費が雪だるま式に膨らんだ
欲しかったカードを一通り買い終えた頃から、私の中で別の基準が育ち始めていました。
それが「状態」です。
手に入れたカードの隅に小さな傷があったり、白い裏面にうっすら汚れがあったりすると、もう気になって仕方ありません。同じカードを、もっと綺麗な状態のものに買い換えたい。そう思った瞬間に、財布のひもがすっかり緩んでしまったんです。
「同じカードなんだから1枚で十分」と頭では分かっています。それでも、目の前にもっと美しい個体が現れると、つい買ってしまう。気付けば1枚のカードに対して2枚、3枚と同じものを買い集めていました。
こうなると出費は雪だるま式です。最初に立てた10万円という予算は、いつの間にか過去の話になっていました。
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1000枚を超えても消えない、欲しいという欲求
何年もかけて買い続けた結果、家のなかにはカードが1000枚以上溜まっています。
ふと冷静になって振り返ると、おかしな話ですよね。小学生の頃に欲しかったカードはすべて手元にあるのに、私の欲求は止まらない。むしろ「もっと綺麗なものを」「もっと完璧な状態を」と、際限なく膨らんでいくんです。
さすがに以前と同じペースで買い続けるのは無理だと感じて、購入のスピードはだいぶ落としました。借金まではしていないですし、生活に支障が出ているわけでもありません。だからそんなに大問題というほどでは、ないのかもしれない。
ただ、こうして「同じものを何度も買う」という行動パターンが自分の中に染み付いてしまったことが、未来への不安としてうっすら残っているんです。
妥協できない性格になってしまうと、出費はどうしても増え続けます。今は問題なくても、いずれ立ち行かなくなる時が来るかもしれない――そんな予感が頭の片隅にずっとあって、消えません。
綺麗なカードを守るプレッシャーと、売却という選択肢
もう一つ、当初はまったく予想していなかった悩みもあります。
状態のいいカードを手に入れてしまったことで、今度はそれを「維持しないといけない」というプレッシャーが生まれたんです。
せっかく綺麗な個体を手に入れたのだから、傷も汚れもつけてはいけない。スリーブをかけて、ケースに入れて、湿度や温度にも気を使って。取り扱いがどんどん慎重になっていきます。
コレクションを楽しむというより、コレクションを守るために神経をすり減らしている。そんな感覚でした。まさか、こんな気持ちになるとは思っていなかったです。
それで最近は、思い切って売却することも視野に入れています。
昔欲しかったカードはもう十分に手に入れたという実感がありますし、手放したとしても満足感は残るような気がしている。お金を使い過ぎたという後悔もあるので、保管のプレッシャーから解放されるなら、それも一つの選択肢かなと考えるようになりました。
今、同じように趣味にお金を注ぎ込み続けているあなたへ
今振り返って思うのは、状態にこだわり始めたのが最大の失敗だったということ。
綺麗なものも、そうじゃないものも、同じカードなんですよね。1枚手に入った時点で「これで満足する」と決められていたら、出費はここまで膨らまなかったはずです。
それでも今は、購入のペースを大きく落として、我慢する努力を続けています。完全にやめられたわけではないけれど、少しずつマシになってきている。その変化を感じられているのが、今のささやかな救いです。
正解だったのかは、正直まだ分かりません。趣味は人生に彩りをくれるものでもあるし、無理に断ち切ろうとも思っていない。ただ、「買える」と「満たされる」は別物なんだということを、痛い思いをして学んだのは確かです。
もし今、同じように趣味へお金を注ぎ込み続けて、ふと不安を感じているなら――その不安はたぶん、大事なサインだと思います。私のように1000枚を抱える前に、一度立ち止まって考えてみても、損はないんじゃないでしょうか。
編集部より
集めること自体より「状態」を追い始めると出費が止まらなくなる、というのはコレクション全般で起きやすい話です。トレーディングカードの世界は美品やグレード鑑定など状態の基準が細かく可視化されていて、上を見ればきりがない作りになっています。一度「もっと綺麗な個体を」というスイッチが入ると終点が消え、同じ対象を何度も買い直してしまう。集める喜びより、手に入れたものを維持する負担のほうが大きくなっていくケースも少なくありません。
困った時の選択肢
【お金の使い方を一度整理したい方へ】
「買えること」と「家計として続けられること」は別の話です。趣味の支出も含めたお金の使い方を、ファイナンシャルプランナーに無料で相談できる窓口です(お勤めの方向け)。
→ おかねと暮らしの相談窓口(無料FP相談)
そのほか、状況に合わせて選べる窓口もまとめておきます。
・止まらない購買欲や「妥協できない」癖の正体を知りたい
→ 心のAIパートナー【Awarefy】(自己理解・セルフケアアプリ)
・お金や物との付き合い方を誰かに話して整理したい
→ オンラインカウンセリング cotree
公的な窓口としては、暮らしやお金の不安を無料で相談できる「よりそいホットライン」(0120-279-338)もあります。
お金との付き合い方や、「欲しい」という気持ちの正体をめぐる本は、たくさんあります。気になった一冊を、まず無料で試す方法もあります。
・読んでみる
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・聴いてみる
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