「先生って、どこの高校の出身なんですか」
塾で働いていると、生徒からも同僚からも、当たり前みたいにこの質問が飛んできます。
そのたびに、心臓がきゅっと縮むんです。私は、自分の実力よりもずっと下の偏差値の高校を選んでしまった人間だから。
あの頃の一つの決断が、30代になった今の仕事にも、日々の人間関係にまで、こんなに暗い影を落とし続けるなんて、思ってもみませんでした。
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:30代女性
・関連カテゴリ:進学・学歴(実力より下の高校を選んだ後悔・学歴コンプレックス)
・体験形態:実体験ベース
・進学先:自称進学校の英語科(卒業)
・現在の仕事:個別指導塾の講師
・体験時期:高校進学時(10代)
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
塾講師という、学歴がいちばん刺さる場所で働いている
今、私は夕方の時間帯に、個別指導塾で講師として働いています。
毎日16時から18時半、日によっては20時まで。10代の生徒たちと向き合って、勉強を教える日々です。
塾という場所は、嫌でも学力や進学実績、そして学歴というものが常に意識される空間です。
同僚と何気ない雑談をしているとき。生徒の志望校について面談をしているとき。どうしても自分の出身高校のことが頭をよぎって、居心地の悪い思いをします。
いちばん怖いのは、「先生はどこの高校の出身なんですか」と聞かれる瞬間です。
本当のことを答えた途端に、相手の目つきや、その場の空気が変わる気がして仕方がないんです。
口には出さなくても、「ああ、その程度の学校なんだ」「そこがあなたの頭打ちなんだ」と、暗に思われているような気がして。
被害妄想だと言われれば、それまでかもしれません。でも、学力を売りにする職場にいるからこそ、過去のあの選択が、まるで自分の能力の限界の証明みたいに思えて、コンプレックスが消えてくれないんです。
「英語科」という言葉に、実力より下の高校を選んだ
どうしてそんな選択をしてしまったのか。
きっかけは、「英語科」という響きに惹かれてしまったことでした。
正直、それ以外に良いところは何もない学校だったんです。それなのに、ここなら英語ができるようになる、と思い込んでしまった。
でも実際は違いました。学力の低い生徒が集まる学校なので、英語の中身もそこまでのものではなくて。おまけに自称進学校だったので、全教科の勉強に、ものすごい時間を拘束されました。
英語がやりたくて選んだはずなのに、気づけば興味のない教科の課題に追われている。入り口からもう、思っていたのと違ったんです。
本当にここでいいのか、と担任は信じられない顔をした
高校を決める前、学校の三者面談の席で、担任の先生から言われた言葉が、今でも耳に張り付いています。
「本当にここでいいのか。君の実力なら、もっと2ランクも3ランクも上の高校に行けるのに、もったいないぞ」
先生は、信じられないといった表情で、私のことをじっと見つめていました。
その顔を、私はきっと一生忘れられないんだと思います。
入学した初日から、何もかもが噛み合わなかった
進学した高校での生活は、入学初日から違和感の連続でした。
周りの同級生たちとは、勉強に対する意識も、会話のレベルも、何から何まで合いませんでした。
英語の授業の内容にしても、私にとっては中学校の復習に毛が生えたくらいのもので。席に座っているだけで時間が過ぎていくのが、苦痛でなりませんでした。
テストの前になれば、周りは「全然わからない」「赤点かもしれない」と大騒ぎしています。その中で、私は大して勉強もしていないのに、学年トップクラスの点数を取ってしまう。
最初は、楽でいいなと思っていました。
でも、それはだんだんと「自分は一体ここで何をしているんだろう」という、猛烈な虚しさに変わっていったんです。
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「限界を決めるな」と教える自分が、いちばん逃げていた
高校を卒業して社会に出てからも、「下の高校を選んだ」というこの事実は、ボディブロウみたいに、じわじわと私の自尊心を削り続けました。
そして個別指導塾の講師として働くようになってから、その傷口が完全に開いてしまったんです。
塾の講師は、生徒たちに「もっと上を目指せ」「自分で限界を決めるな」と教える仕事です。
でも、そう言っている本人が、過去に自分の限界を勝手に決めて、下の学校へ逃げた張本人なわけで。
その矛盾に、毎日、強烈な自己嫌悪を抱きます。
高校の名前を口にするたびに、自分の額に「頭打ち」という烙印を押されているような気分になるんです。
それでも、夜と休日は英語をやり直している
それでも最近は、仕事を終えた夜や、休日を使って、もう一度英語の勉強を基礎から徹底的にやり直しています。
もともとイギリスの文化や、ハリー・ポッターの世界、そして英語そのものが好きだったんです。
やってみて気づいたのは、自分が本当に興味を持てる分野なら、どれだけでも深く学べるということでした。
学歴とか、周りの評価とか、そういうものとは関係のないところで、好きなものにのめり込んでいる時間だけは、少しだけ息がしやすいんです。
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ネットから離れて、自然と本の中に、自分を戻していった
スマホやSNSの情報に触れていると、他人の華やかな学歴や生活ばかりが目に入って、余計に惨めな気持ちになります。
だから私は、あえてネットの世界から距離を置きました。
休日は、自然の豊かな場所へ出かけて、動物たちと触れ合って。静かな環境で読書に没頭する。
そうやって、自分の内面を好きなもので満たしていくうちに、少しずつ、わかってきたことがあります。
他人の評価や、過去の高校名にこんなに縛られている自分が、どれほど勿体ないか。
理屈ではなく、実感を伴って、それが少しずつ理解できるようになってきました。
実力に合う場所を、妥協して選んではいけない
今、振り返って私が強く思うのは、自分の実力に合う環境選びを、妥協してはいけないということです。
実力より下の環境を選ぶと、長い人生の中で、大きな代償を払うことになります。
低い環境に馴染んでいく自分への違和感。あの時の決断への後悔。それは、何年経っても、簡単には消えてくれません。
学校の名前で、あなたの価値は決まらない
もし今、私と同じように「あの時もっと上の学校に行っていれば」とコンプレックスに苦しんでいる人がいるなら、伝えたいことがあります。
あなたが過去にどこの学校を選んだとしても、それであなたの知性や、人間としての価値が、すべて決まるわけではありません。
周りの人や、社会の冷たい目線が「そこが君の限界だ」と決めつけてくるように感じても、その言葉を真に受けて、自分を卑下する必要なんて、まったくないんです。
……なんて、そうわかってはいても、なかなかできないんですけどね。
学歴のことで、いまも自分を責めてしまう人へ
実力より下の環境を選んだ後悔がこれほど長引くのは、学校の名前そのものよりも、「自分で自分の限界を決めてしまった」という感覚が、ずっと心に残り続けるからかもしれません。
でも、いま英語をやり直せているように、自分を測る物差しは、過去の一度の選択ではなく、今日何に夢中になれるかで、いくらでも更新していけます。
まずは他人の目線ではなく、自分の興味のほうから、環境を選び直してみてください。
困った時の選択肢
【もう一度、英語や好きな分野を学び直したい方へ】
学生の頃にうまくいかなかった勉強も、大人になってから、自分のペースで手に取り直すことができます。全年齢対応のオンライン英会話なら、「好きだったはずの英語」との距離を、少しずつ縮めていけます。
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そのほか、状況に合わせて選べる窓口もまとめておきます。
・気になる分野を、大人になってからじっくり学び直したい
→ 大人の学び直しをオンラインで【大人の英会話倶楽部】
・まず自分の気持ちの整理・自己理解から始めたい
→ 心のAIパートナー【Awarefy】(自己理解・セルフケアアプリ)
・誰かに話して気持ちを整理したい
→ オンラインカウンセリング cotree
公的な窓口としては、「よりそいホットライン」(0120-279-338)が、どんな悩みでも無料で相談に乗ってくれます。
気になった一冊を、まずは無料で試してみる方法もあります。
・読んでみる
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・聴いてみる
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過去の選択を責める日ではなく、今日やり直せたことを一行だけ書き留める。そんな時間の積み重ねが、少しずつ自分を肯定に近づけてくれます。

